お客様が実際に使って
喜んでくださるシーンを演出する
それがバイヤーの仕事です
見た目は爽やかな少年のイメージを持ち合わせた遠藤だが、
入社以来、中国出向を始め、震災からの店舗立て直しなど、
さまざまな体験を経て、若くして花形部門の商品部、バイヤーに抜擢された男だ。
大変な努力と苦労をしてきたであろう遠藤だが、そういった話でさえ、「楽しいですよ」と、
さらっと言ってのけてしまう、その腹のすわり方を堪能してほしい。
遠藤光二
2008年入社
東北福祉大学 情報福祉学卒業
商品部
スポーツ・ファッションチーム
バイヤー
5年目
帰国後、バイヤーに。目標に向かって奮闘中
4年目
中国の現地法人への赴任
3年目
フィールドスタッフとして本社と店舗のパイプ役に
2年目
店舗で商品構成の大切さを知る
2008/04
店舗でアルバイト時代と違う責任を痛感
学生時代
スノーボードに熱中する
スノーボードの表現性に惚れました
 私は、スノーボードの「表現性」に惚れました。スノーボードクロスは「早ければ勝ち」という競技ですが、私が取り組んでいるスロープスタイルは、“表現”を求められます。単に、回転が多ければ良い訳ではなく、全体のコンパクトさ、手振りなど、周囲のリスペクトの対象になるポイントはたくさんあります。その中で、できなかったことができた時の感動や、大会で優勝した時の喜びを爆発させる快感を味わうことができます。このあたり、なんだか私の仕事と少し似ている気がします。
手を抜かず、売場づくりに徹底的にこだわる
 就職活動。自分がどうなりたいのかを原点に戻って考えてみました。4年間ゼビオでアルバイトをしていた仙台泉中央店。そこで、本当にお店を好きになっている自分に気づきました。30代、40代を迎えた自分がゼビオで働いている姿をすごくイメージしやすくて。それで改めてゼビオを志望しました。
 入社して最初の配属は、福島のいわき店です。そこでは、店長から売場に込める思い、「決して手を抜かず、ほんのわずかな什器の高さの違いにまでこだわる、そのすべては、お客様の買いやすさを追求するという最終目標のためなのだ」ということを徹底的に叩きこまれました。
 それと同時に「収益は?」「今後のゼビオは?」とアルバイト時代には問われることがなかったことを「本気になって考えろ」と迫られ、責任の重さを自覚することになりました。
 2年目、シューズ担当として、商品単体だけでなく、商品構成に目を向けた時期です。売れ筋とは何か。いや、売れ筋というよりも、自分が意思を持ってお客様にアピールをする“売り筋”はどうやってつくればいいのか。そのための在庫はどのぐらい用意しておけばいいのか、商品調達はどうするのか、とにかくがむしゃらに試行錯誤しました。
 そんな中、本社のフィールドスタッフとして異動の命を受け、全く未知のトレーニング部門の担当になりました。フィールドスタッフとは、店舗と商品部の間をつなぐ役割をします。初めての本社。熱気を感じましたね。全国約150店舗の売れ筋情報を集め、売り方を考え、商品調達を行う……。その中で私の役割は、これから売れる可能性が高い商品の兆候を見つけ、お店に伝えていくことでした。たとえば「柄物のスウェットが福岡、神戸、仙台といった人口100万人都市で売れている」というデータが出ていれば、「今後はもう少し小さな都市でも売れるのではないか」という予測のもとに各店に展開していきます。
 1年間、フィールドスタッフ業務を行っていた中、2011年の震災が発生しました。私は、自分の出身地でもあり、壊滅的な被害を受けた仙台泉中央店の立て直しのために、急遽、店舗に戻ることになったが、半年が経とうとしていた時、出る杭試験(職歴不問の社員登用制度)で、商社の中国事務所への出向候補として選出され、宇都宮オフィスで、海外出向のための研修がスタートしました。
海外で活躍する同世代。それに比べて自分は……
 いざ、中国に来て。商社の仕事は、1にも2にも人と人の間に立って、場をつくり、つなぐ仕事です。しかし私は「アテンドとはどういう気遣いをすればいいのか」、それがまったくわかっていませんでした。とにかく自分のふがいなさばかりを感じました。同世代で既に世界で活躍している人々の立居振る舞いを見て、本当にショックを受けました。すべてが甘かったのです。
 中国では、おもに生産管理の仕事をしていました。日本の商社から来た注文を工場に伝えて、期日通りに良品を出荷するまでの管理です。そこには、工場、商社、そして元々の発注主、という3つの立場が存在します。どこかが割を食っているようだと、その仕事は長続きしません。「売り手良し、買い手良し、世間良し」という近江商人の心得に関する言葉がありますね。売り手も買い手も満足し、かつ社会貢献もできることが良い商売である。という意味です。企業間で信頼関係を醸成し、良いパートナーシップを築く上では絶対に必要なことです。目先の利益を追求する企業との取引は、非常に刹那的になる可能性が高いです。中国で身をもってその大切さを学びました。
スポーツの感動を一人でも多くの人に
 帰国後、トレーニング部門のバイヤーに。バイヤーは、ゼビオの中でも花形ですが、「バイイングの技術」を競い合う厳しい世界で、思いつきや勢いで乗り切れるものではありません。緻密な販売計画と、マーチャンダイズの編集能力、市場トレンドを読み込むための情報収集能力など、非常に多様な能力を求められる仕事なのです。当然、ライバルは自社内ではなく、日本国内の他企業のバイヤー、さらには世界中のバイヤーとの戦いを余儀なくされます。社長からは、「お前が自己実現のため、なんてちっぽけなことを言っていたら、バイヤーとしての国内及び海外におけるランキング、ましてや、ビジネスマンとしてのランキングは上がらないぞ」と言われました。ここでもまた覚悟を迫られたのです。その戦いに身を投じると覚悟した瞬間、「若手だから、新人バイヤーだから」という考えは吹っ飛びました。人生で経験したことのないスピード感ですが、非常に楽しんで、ポジティブに取り組めています。
 バイヤーは、市場を変えることができ、世の中の流行を創り出すことができます。メーカーから売れそうなものを買い付けるのがバイヤーの仕事ではありません。お客様の使用シーンを演出するために商品を買付けしているのです。そのためには、モノづくり、生産地、物流、など商品に関するあらゆることに精通していなければなりません。まさにマーチャンダイザーです。どんなに厳しい状況でも、やり抜かなければならない、それはきれいごとばかりではありません。生半可な覚悟ではビジネスになりません。それでも私は楽しくて仕方ありません。それは、「スポーツの感動、身が震える思いを一人でも多くの人に感じてもらいたい」という最終目標のための一つのステップだと今を捉えているからです。夢を実現するためには、立ち止まっている暇はありません。目標達成のために挑戦を続ける限り、その思いに応えるだけの度量がこの会社にはあると信じていますから。