店舗は一番面白い。
ずっと最前線にいたい。
できればいつかは海外で。
体育学部出身。もちろん気合も根性も備わっている。しかし、彼に備わっているのはそれだけではない。彼の行動は、すべて緻密に計算され、
今日も無駄なく1300坪の店舗を演出していく。
「空気がガラッと変わる瞬間」。彼が好きでたまらない瞬間のことだ。
吉岡恒晋
2004年入社
中京大学 体育学部卒業
スーパースポーツゼビオ
津ラッツ店 店長
11年目
シューズアスレチック ディストリビューターを経て
津ラッツ店に店長として移動
8年目
神戸ハーバーランド店
店長としてリニューアルを成功に
6年目
福山店に店長として異動 不振店を立て直す
3年目
三重県津ラッツ店 マネジャーに昇格
2年目
千葉県アリオ蘇我店 チーフに昇格
2004/04
入社 仙台泉中央店
入社前
小中校とサッカーでいつもキャプテンを務める
3店舗の店長から、店舗運営そのものを学びました。
 最初の配属は、ゼビオの旗艦店のひとつ、仙台泉中央店でした。最初は野球の担当でした。野球部門に強い店舗だったので、グローブの臭いをかいだだけでどこで生産された商品かがわかるぐらいのプロフェッショナルが揃っていました。店長は、長年にわたり「スーパースポーツゼビオ」という業態そのものをつくってきた人間でした。仕事をしているその背中ですべてを語る方で、とても厳しかったです。社会人になって1年目、レイアウトのイロハをはじめ、仕事に対する考え方を、口ではなくすべて実際にやって見せてくれました。
 1年間、仙台で濃密な時間をすごした後、新店のアリオ蘇我店(千葉県)に、オープニングスタッフとして異動になりました。蘇我店の店長はとても緻密な方でした。週ごとに1品ずつの売れ行き状況を分析したシートを全商品分、常に持っていて、それを基に科学的に売れ筋商品を割り出して品揃えを決めていきます。私はここで冷静に分析することの大切さを学びました。
 3店舗目は、これまた新店の津ラッツ店(三重県)です。この時の店長は、非常に戦略家でしたね。売場をつくるにも、スタッフの配置を決めるのにも、「なぜそうするのか」ということを裏付ける資料がたくさん用意されていました。競合店に勝つためにはどうするか、相手の強み弱みを徹底的に分析して、どこで勝負するかを決めていきました。店長の戦略がはっきりしていたので、私はマネジャーとして店舗のスタッフに対して「なんのためにするのか」「この仕事をするとどうなるのか」をとても説明しやすかったです。
「こいつが来たら何かが変わった」空気がガラッと変わった瞬間
 津ラッツ店で3年間過ごした後は、いよいよ店長として福山店に異動しました。ショッピングセンター(以下SC)に入居する古い店舗でしたが、異動前数年は、売上が伸び悩んでいました。スタッフには、「どうせ目標は達成できない」というあきらめにも似た雰囲気が漂っていました。私は、まずは小さな成功体験が必要だと思い、「できることから確実にやろう」と呼びかけ、先輩店長に習った通り、全社で売れているのに福山店では結果が出ていない商品を何品か選び出し、その商品だけを徹底的に強化しました。するとすぐに結果が出で、さらには、赴任1カ月後、ずっとクリアできなかった前年売上高を超えることができたのです。「私の施策が当たった」と言いたいところですが、実際はそれだけではなかったです。「運」が私に味方してくれました。しかしそこから空気がガラっと変わりました。店舗全体が「こいつが来たら何か変わったぞ」という雰囲気になったのです。
「リニューアルまでのこの1年間を無駄にしたくない」
 福山店で1年半ほど勤務した後、今度は、福山店の倍、1600坪の売場面積の神戸ハーバーランド店に異動しました。そのころのハーバーランドは、コアになる百貨店が撤退してSC施設全体の元気がまったくない状態でした。そのため、1年後の2013年4月には全館一斉に大幅リニューアルオープンすることも決まっていました。とはいえ、リニューアルまで1年間もあります。SCのお客様は減ったものの、ゼビオを目指してご来店なさるお客様はいらっしゃいます。「この1年間を無駄にしたくない」と私は思いました。そこで今、やるべきことを決めるために改めて店舗の状況を詳しく分析することにしました。その結果、スポーツ用品店にもかかわらず売上がファッションを中心とした商品に偏っていること、そして、バットやグローブ、ラケットといったスポーツ用品でつながるリピーターが少ないことがわかりました。「スポーツ用品を買うならゼビオ」としてリニューアル後にお客様から選んでいただくためには、まず、お客様と親密にならなければ、そのための手段はカード会員獲得だ、と決めました。また、お客様とより専門的な会話ができるようになるために、スタッフの商品知識向上のための機会も大幅に増やしました。
 店舗で1年間取り組む課題を決めた後は、リニューアルオープン後のお店づくりのコンセプト策定です。神戸はおしゃれでかっこいい、というイメージがあると思います。1つ目のコンセプトは、「かっこいい都市型の業態」を確立すること。そして地域に愛される店舗、「もう一度来たい、また来たい」と思ってもらえる店舗にすること。この2つの基軸を新店舗のコンセプトとしました。意外なことに他のテナントが次々撤退していった2012年11月から一時閉店する翌年の1月まで、ゼビオの売上は落ちるどころか少し伸びたのです。その理由は、獲得したカード会員様がリピートしてくださったからでした。方針を明確にして伝えたこと。そして、その方針を受け入れ、スタッフが積極的に取り組んでくれた成果でした。4月のリニューアルオープン後の売上は爆発的な数字でした。もともと落とさなかった売上に、SCの力が復活した売上が加わったのですから当然ですね。みんなで地道に1年間取り組んできた成果だと思います。
一度、「あの瞬間」を味わうと、店長はやめられません。
 もうおわかりいただけると思います。私は店舗が大好きです。許されることならずっとゼビオにおけるビジネスの最前線である店舗にいたいです。最終的には、海外で店舗の立ち上げに関わって、ゼビオがその国で商売をする基盤をつくっていきたいです。一度、あの「空気が変わる瞬間」「人の行動、考えが変わる瞬間」を店長として味わってしまうと、もうやめられないですね。
 店舗は「店長が誰か」で大きく変わります。ゼビオはその傾向がより強い会社です。それだけ好きなことを店長の裁量でやらせてもらえるし、提案すればしっかり聞いてもらえる。というよりも「やりたいことを言わないことは悪」という風土すらありますね。どこの店舗でも話すことは同じです。「売れ筋商品を逃さないようにしよう」「自分がやるといったことは必ずやり遂げよう」と。たとえ世界に出ようとも、かつて先輩店長からいただいた言葉を、後輩たちに伝え続ける存在でいたい。私は今、強くそう思っています。